2024/10/29 09:34
◎〔アナリストの目〕WTI、65~75ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)は、米大統領選を控えレンジ相場となっている。
直近では、中国の需要を巡る懸念と中東の戦闘激化を背景とした供給懸念で強弱拮抗(き
っこう)の値動きを演じていたが、米大統領選を間近に控える中、投機勢のポジションをは
じめ、大衆勢もキャッシュポジションを高める動きとなっている。
◇投機はキャッシュポジションの比率高める
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)は、米大統
領選を控える中、価格変動の高まりを警戒し、キャッシュポジションの比率を高める動きが
顕著になっている。
先月のアナリストの目(9月24日)では、増加傾向にあるレバレッジファンドのショー
トに関して「米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、市場参加者が一時的に市場から撤
退していたこともあり、相当量のポジションを買い戻すための流動性が十分でなかった」と
指摘し、「材料の強弱にかかわらず、新規売りのレンジを上抜ける場面では損切りが発動す
ることも想定され、足元の流動性の薄さを考慮すると、瞬間的でも70ドル台後半への巻き
戻しも考えられる」との考えを示した。その後市場は、中東情勢の緊迫化、大型ハリケーン
「ミルトン」が米フロリダ州に上陸との報などを背景に、予想通り「70ドル台後半への巻
き戻し」を経て、再び想定内のレンジ65~75ドル内で推移している。
◇先物曲線も落ち着いた状態
長期先物曲線の水準も落ち着いた状態にある。8月末から9月初旬までファンダメンタ
ルの軟化を背景にフラット化の状態にあったが、足元、緩やかなペースで再び逆ざやへシフ
トしている。期近限月では米大統領選を警戒した手控えとポジションの解消が目立つもの
の、長期先物曲線そのものは適温である。仮に米大統領選、その他要因で原油価格が乱高下
しようとも、長期曲線の水準が現状維持の場合は市場の変動も一過性になると予測する。
(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/
【無断転載をお断りします。時事通信社】
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