内部要因は沈静化

コモディティ・アナリシス

〇WTI:80-70ドルレンジで推移 ニューヨーク原油(WTI)は、下落トレンドに転じた9月下旬以降、需要懸念等を背景に約19%低下している。 米経済景気後退と世界的な原油需要の停滞を巡る懸念が強まる中、米原油在庫の大幅積み増し、また世界最大の石油輸入国である中国の需要減退観測が重石となっている。国際エネルギー機関(IEA)が、2024年の世界石油市場は若干の供給過剰になるとの見通しを示したことも市場参加者のセンチメントにネガティブな影響を与えている。 現状、米中のさえない指標等を背景とした需要懸念と来年の供給過剰予測が上値を抑える一方、OPECプラスによる減産や中東紛争がボトムを支える格好となっている。 当面、80-70ドルレンジを予想する。

〇投機筋は買いポジションを清算

米先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)に関して、マージドマネーは9月末以降、積み上げたロングポジションを7月初旬の水準まで減少させた。7月初旬と直近データ(11/14)を比較すると、ポジションの出入り口の価格帯、建玉の内訳は共に同水準となっており、中東紛争等々のテンションをよそに、内部では粛々と自律調整が続いてきたようにも見受けられる。 ただTraderの推移を確認すると、買い方の撤退は11月以降であり、9月末から続いた下げ相場から逃げ遅れた形跡も一部見受けられる。つまり、9月末以降の一段安の背景として、中東紛争の下支を期待した買い方の断続的な打診買いとそのロスカットが原因のひとつとして考えられる。

〇内部要因は沈静化

原油価格のピークアウトは9/28となっているが、長期先物曲線は9/15頃から先安形成を示唆していた。その先物曲線も、直近では11/16にボトムを確認し、足元、調整局面にある。 また、9月末から続いた下落相場入りの背景に関して、主に米経済景気後退の懸念の強まりが指摘されているが、伏線として拡大する逆ザヤの修正、インター・コモディティにおけるWTI原油への買い圧力の修正等々の内部要因があったことは記憶しておきたい。 ※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表 https://burginvest.co.jp/
出典:時事通信社

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