【アナリストの目】
2024/02/27 09:29
◎〔アナリストの目〕WTI、70~80ドルで推移=強弱材料拮抗-吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)は、強弱材料が拮抗(きっこう)する中、70~80ドルレンジの調整が続いている。
ダウンサイドは中東情勢がサポートする構図に変化はない。ガザ地区最南部のラファへの空爆等、イスラエルのガザ地区への攻撃の激しさが増す中、原油市場においても断続的な押し目買いが相場を支える格好となっている。
一方のトップサイドにおいては、米国のインフレデータの上昇が上値を抑える構図となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)コア価格指数は1月分が上昇することが見込まれており、利下げに対する市場の期待をさらに後退させる可能性が原油市場の重しとなっている。
足元、原油市場の動機となる新規材料自体が不足しており、高値・安値を追うセンチメントにない。
70~80ドルのレンジで底堅く推移することを予想する。
◇投機筋動かず
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)に関して、相場同様に様子見状態にあり、大きな変動、方向性を示すポジショニングは見られない。1月30日のアナリストの目では「トレーダーの推移を確認すると、平均72.5ドルの水準で買方増・売方減の傾向が続いており、同水準における投機筋の方向性の一致も確認できる」との考えを示し、ダウンサイドにおける投機のセンチメントを確認した。一方のトップサイドも同様に、平均78.5ドルの水準で買方減・売方増となっており、強弱材料で拮抗状態となった市況を裏付けるポジショニングとなっている。
◇内部要因もニュートラル
内部要因も先物曲線を含め中立である。
中東情勢の緊迫化を背景に逆ざやの傾向を強めていた期近スプレッドも、上記弱材料が重しとなり逆ざや傾向も幾分緩和された。また、長期先物曲線の水準は、「緊張も緩和もないニュートラルな状態にあり、当面、これまで通り、70~80ドルが適正レンジとして機能するものと推測する」との考えを示した1月30日のアナリストの目の状況から変化していない。
先物曲線と材料の強弱、そして投機のポジションは密接に関係しており、これらが総じて拮抗状態にある現状を踏まえ、当面、価格もレンジで推移する傾向にあると考える。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/
【無断転載をお断りします。時事通信社】
コメント