〔週間見通し〕NY金、新興国のコモディティー需要の減退を招く恐れ

コモディティ・アナリシス

吉中晋吾・バークインベスト代表=ニューヨーク金先物相場はこのところ、水準を切り下げている。相場を圧迫する材料が目立つ中で軟調な展開が続いた場合、中心限月は目先、1240ドルが視野に入りそうだ。ただ、1240ドルを割り込めば、値頃買いなどが入ると見込まれるため、戻りを試すと予想している。  注目材料として、まずユーロの対ドル相場が挙げられる。移民・難民問題をめぐる対立を受け、ドイツの連立政権が崩壊するとの観測が出ている。連立崩壊に対する懸念が強まれば、ユーロ売り・ドル買いにつながり、ドル建てのNY金の押し下げ要因となる。こうした懸念は金相場にとって買い材料とみる向きもいるが、マーケット全般の現在の状況を踏まえれば、リスク回避を目的とする資金は金よりも米国債に流れている。  米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週金曜日に発表する建玉明細報告(COTリポート)も、投機筋の動きを見極める上で注視している。来週は6日に米雇用統計が発表されるが、これを受けてNY金相場が大きく動くとはみていない。  短期ではなく、中長期的な観点から見れば、米国の保護主義政策が与える影響も気掛かりだ。米保護主義を背景に新興国の通貨安が進行すれば、新興国のコモディティー(商品)需要の減退を招く恐れがあると考えている。(了)
出典:時事通信社
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