2024/07/30 09:23
◎〔アナリストの目〕WTI、75~85ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、中東情勢や米大統領選の道筋見極めに腐心した
値動きを展開している。
直近では、パレスチナ自治区ガザでの停戦期待を背景に上値の重い展開が続いていたも
のの、イスラエルが占領するゴラン高原へのロケット弾攻撃を受け、WTIの売り圧力も沈
静化。足元、方向感を欠くセンチメントとなっている。
中国、アジアの軟調な景気を巡る懸念も根強い。中国の予想外の利下げで景気支援の強化
が期待されたが、共産党の中央委員会で新たな刺激策が打ち出されなかったことで市場の
ボラティリティーもトーンダウンした状態にある。
しばし方向感を欠く展開が続くものと考えられ、当面75~85ドルのレンジで推移す
るものと予想する。
◇投機勢、レンジ取引に徹する
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下、オプションを含む)に関し
て、6月中旬以降、方向感が定まらず投機手口も微調整で推移していたが、直近データでは
買方の手じまい主導でネットロングを縮小させている。これらの背景として、軟調なファン
ダメンタルズも要因の一つとして考えられるが、7月19日に発生した世界的なシステム
障害が主要因であるとの見方も多い。
また、足元、トレーダーの買方の増加が確認できるが、これらは上値を期待するセンチメ
ントではなく、6月25日のアナリストの目で言及した逆ざやのロール・イールド、直近安
値75ドルに接していたことなどが背景にあると考える。
また、直近の内部は先物曲線を含め小幅調整が定着している。各限月のスプレッド、また
スプレッド間の価格差も平穏である。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/
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