2024/06/25 09:44
◎〔アナリストの目〕WTI、75~85ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、中東の紛争や堅調な米燃料需要の予想を手掛か
りに底堅く推移している。
6月初旬、米国のインフレと高金利の長期化が需要を圧迫するとの懸念から一時2月6
日以来の安値72ドル台まで下落したWTIは、国内外の強材料を手掛かりに再び巻き戻
しに転じている。背景には、中東での紛争激化と石油供給への警戒感、米政府が戦略石油備
蓄(SPR)を補充するため原油購入を増やす方針を示したことなどが挙げられる。また、
ゴールドマン・サックスも今夏に堅調な米燃料需要を予想しており、これら強材料が大衆勢
の買い意欲にプラスに作用しているものと考えられる。
当面75~85ドルのレンジで推移するものと予想する。
◇投機勢、レンジ取引に徹する
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)に関して、
直近データでは、投機勢が買い場(安値)を70ドルから75ドルへシフトした向きも見ら
れる。6月初旬の段階では、方向感が定まらずトレーダーの手口もまちまちであったが、相
場が上限下限を確かめた後は、活発なレンジ取引が展開されている。直近では、70~80
ドルのレンジで、大口と小口が交互にポジションをスイッチする流れでレンジが形成され
ており、内訳は、大口が80ドルでの転売プラス新規売り、そして小口は72ドル台で新規
ロングの内容となっている。
小口の買い場の考察に関して、ファンダメンタルズ的視点では、SPRの購入レンジ等、
上記ファンダメンタルズを材料視しつつ、一方、テクニカル的側面では、現物の受け渡しが
行われる前に期近を売却し、期先に乗り換えるときに発生する損益であるロール・イールド
が十分な逆ざやであることが背景にあると考えられる。
◇スプレッド間の価格差も平穏
やはり内部は先物曲線を含めニュートラルである。
各限月のスプレッド、またスプレッド間の価格差も平穏である。通常、スプレッド間の価
格差に動きが見られる際は、上記投機筋のポジショニングにも同様に何かしらの変化が確
認される傾向にある。現状は、オプションを含め投機ポジション自体に動きがないためスプ
レッド間の価格差にも動きはない。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/
【無断転載をお断りします。時事通信社】
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