◎〔アナリストの目〕WTI原油:主要参加者は手控え傾向

コモディティ・アナリシス

2022年 4月20日11:11 am

ニューヨーク原油(WTI)は、強弱材料が拮抗する中、100ドルを中間レンジとした売買が続いている。

国際通貨基金の経済成長予測引き下げ、また中国における新型コロナウイルスに関連する都市封鎖が需要減退を招くとの思惑が上値を抑える中、ダウンサイドに関しては、欧州連合がロシア産原油の禁輸を検討していることから供給不足も懸念されており、足元、下値を追うセンチメントには無い。

現状、センチメントはニュートラルの状況下にあり、均衡状態を保ちつつ100ドルを分岐点とした調整売買が続くものと予測する。

〇主要参加者は手控え傾向

前回のアナリストの目(3/26)で言及したように、不安定な市況が市場のストレスを高める中、未だ多くのプレーヤーが投資を手控える傾向にあり、同市場における出来高も減少傾向にある。

また、米先物取引委員会(CFTC)の建玉では、昨年12月以降、投機ネットロングと取組高共に減少傾向にあり、市場参加者のセンチメントを測る上での参考指標となるTRADER数も同様に買い方減の流れで推移している。時間を取引するタイムスプレッドの戦略も落ち着いた状態にあり、総じてリスク回避的な状態にある。

インターマーケットの売買も同様に減少傾向にある。市場参加者によって形成されるフェアバリュー(適正と考えられる価格水準)も不透明な状況下の中、現状、アウトライト(条件を付けない単体取引)、タイムスプレッド、インターマーケットの全てにおいて手控え状態にある。

〇建玉動向を注視

投機のみならず静観状態のプレーヤーは少なくない。WTI原油価格自体は“動いている”が、実弾が伴っていない事は上述の建玉動向からも確認できる。

今後の展開として、価格水準よりも、建玉や取組高の変化が今後の方向性を占う上で重要な指標になるものと考える。

均衡状態を保ちつつ110-90ドルレンジで推移するものと予想する。
出典:時事通信社
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