2023/01/31 10:57
◎〔アナリストの目〕WTI、75~85ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、1月5日以降、新型コロナウイルス規制解除後の中国での燃料需要回復期待、また、経済活動との連動性が極めて強い指標とされる銅をはじめとするコモディティー市場の強気見通しを手掛かりに底堅く推移している。
昨年11月末、長らく続いた期近限月の逆ざやが解消され、市場ではしばらく70~80ドルのボックス相場が続いたが、直近ではWTIの出来高も12月比で回復傾向にある。力強いバイアスが生まれるような地合いは整っていないが、底堅さを示す材料も少なくない。
当面、75~85ドルのレンジで推移すると予測する。
◇為替市場は様子見
緩やかなドル安の流れが原油市場のボトムをよりタイトにするとの思惑もある。ただ、直近では、ハト派のブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)副議長が国家経済会議(NEC)の次期委員長の最有力候補との報を受け、連邦公開市場委員会(FOMC)でハト派の勢いが軟化する一方、景気悪化の際、政権側からFOMCにハト派的な影響力をもたらすとの思惑から為替市場は様子見の状態が続いている。
◇投機ポジション、ダウンサイドの深追い避ける
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下、オプション含む)はニュートラル。
マネージドマネーのポジションに関して、現状、いずれかにバイアスがかかるような手口はない。ただ、維持されてきた70~80ドルのレンジは、中国の需要回復期待を警戒した売方の巻き戻しを受け、75~85ドルのレンジに切り上がった。また、トレーダーは建玉と符合した推移となっており、上値を追うほどの買い圧力はないが、ダウンサイドの深追いを避ける傾向はみられる。
先物曲線に関して、中長期の曲線は1月初旬から逆ざやが拡大傾向にあり、1月17日に80ドルを試した際はスプレッド市場の出来高も急増する場面が見られた。
また、この水準ではCFTCのスプレッドポジションも急増しており、ヘッジファンドや他のプレーヤーも、シンプルに価格に賭ける戦略からスプレッド戦略にシフトする流れが確認された。つまり、80ドルが現在の市場の分水嶺(れい)として認識されていると推測する。
ボトムはタイトだが、上昇バイアスを生む決め手にも欠ける。短期では、75~85ドルレンジの推移になると考える。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
出典:時事通信社
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