◎〔アナリストの目〕NY金、夏枯れのレンジ相場入り

コモディティ・アナリシス

2018/08/06 07:29

◎〔アナリストの目〕NY金、8月は1200~1240ドルで推移=吉中晋吾氏

ニューヨーク金市場は6月15日以降、銅や他貴金属同様、米中貿易戦争激化のあおりを受け、ノンストップで売り込まれてきた。ただ、夏季休暇入りとともに底打ち感が見え始め、直近安値でもある1204ドル手前では打診買いも生まれやすい傾向にある。
しばし夏枯れのレンジ相場(1200~1240ドル)入りとなるが、1200ドル台においては、年末ごろからの回復基調を見込んだ買い仕込みや、投機筋の買い戻しに支えられ、底堅く推移することが予想される。

直近で気になる数字の一つに投機筋の建玉動向(COTリポート)がある。6月19日以降、投機筋のネットロングは減少し続けているが、その内訳のほとんどが新規売りとなっている。下げ相場の入り口となった1300ドル台での売り仕掛を皮切りに、1260~1240ドル台での売り直しで厚みを持たせる動きを見せている。

60ドル前後の抜け幅をターゲットとした動きであり、投機筋の典型的な行動パターンの一つとも言えるが、上述の通り、断続的な売買ではなく、売りに厚みを持たせ続けているのが気になる。ガス抜きを必要とする時間が近づいていると言い換えることもできるが、直近の売り仕込みが1260ドル、そしてターゲットが60ドル前後になると仮定すると、やはり1204~1200ドル手前の水準では投機筋が買い戻しに動くことが予想される。

ただ、買いの転売は鋭く価格を押し下げる一方で、売りの買い戻しは地味な価格上昇にとどまる傾向にもあるため、特に、上値の重い展開が予想される8月中の相場においては、あくまで一つのサポート材料として受け止めておく必要がある。

さて、前回(5月分)のリポートでは「9月以降の1200ドル台定着の調整局面」と述べ(5月中旬から8月中旬は)1240ドルを底値としていたが、その水準も7月17日にあっさり下抜けることとなった。若干、展開が早く感じるものの、1200ドル台を底値と見るスタンス自体に変化はない。1200ドル割れの可能性も残されているが、その値幅は限定的であり、同時に、中期目線では強気の買いが入りやすい水準になると予想する。

出典:時事通信社
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