2017/10/24 08:43
◎〔アナリストの目〕NY金、FRB議長人事にかかわらず安値は拾われる=吉中晋吾氏
9月初旬から中旬にかけピークを付けたニューヨーク金であるが、その後は1300ドル割れから1260ドルのレンジを推移しており、直近では、米上院で予算決議案が可決されたことから、税制改革へのさらなる前進を期待して総じてリスクオンの展開となり、頭を押さえられている。
次期FRB議長人事に市場の注目が集まっているが、NY金市場のセンチメント自体は悪くはなく、タカ派・ハト派にかかわらず1260~1300ドルのレンジを意識したボックス相場で推移しつつも安値は拾われることが予想され、北朝鮮関連の材料等が出るタイミングでは1300を超える上昇も考えられる。
やはり、ポイントとしては内部(CFTC建玉)の動向と金ETF(上場投資信託)残高、そして次期FRB議長の人事になる。
まず、CFTC建玉であるが、直近(10月17日付)のデータでは投機筋のネットポジションには大きな動きが見られず、若干ネットロングを減らし722トンとなっている。前回分では平均1270ドルでネットロング増、今回分では平均1290ドルでネットロング減ということで、ひとまず参加者は1260~1300ドルのボックスを意識した調整を続けている。現状、内部に過熱感は見られず9月初旬から中旬のような圧迫感はない。
また、金ETF(上場投資信託)であるが、1260~1280ドル台では資金が入りやすく、1280~1300ドル台では様子見、そして1300ドルではトーンダウンして資金流出する傾向にあり、現状は1280ドル台を踊り場として次期FRB議長のアナウンスを待っている構図である。
次に次期FRB議長であるが、大統領のアジア歴訪前の発表が予想されており、現時点では、テイラー氏(タカ派)とパウエル氏(ハト派)の名前が存在感を増している。
さまざまな思惑が入り交じるが、ハト派の流れの場合は、基本的には政策の方向性(緩やかな利上げペース)を受け継ぐということで金市場には安心感を、仮にタカ派となった場合でも、“方向性”を極端にねじ曲げることがなければ、一時的なショック(売り)で大きく下振れするときは、逆に金市場にとっては中期目線での買い場になり得るのではないだろうか。
出典:時事通信社
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