2022年 11月1日
ニューヨーク原油(WTI)は、OPEC(石油輸出国機構)プラスの大幅減産合意を受け一時9月14日以来の90ドル台に回復したものの、再び80ドル台に押し戻されることとなった。
これらの背景としては、日量200万バレルの生産枠削減が世界供給減にはつながらないとの見方、また、中国での新型コロナウイルス規制強化による燃料需要への影響、国際エネルギー機関(IEA)の原油需要予想引き下げなどが考えられる。
ダウンサイドの70ドル台では自律の巻き戻しが見られる一方、トップサイドに関しては上記ファンダメンタル、また、後述する投資家動向を含め95ドル台で上値をキャップされる傾向にある。
当面のレンジを75~95ドルと予想する。
◇オプション市場ではプットの買い増加
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉では、OPECプラスの流れを受けマネージドマネーの新規買い、また、センチメントを測るトレーダー数に関しては急激な伸びを示し、8月終盤以降横ばいとなっていた取組も増加傾向にある。
OPECプラスの報に反応した格好に見受けられるが、別の視点ではインターコモディティーにおけるWTIの割安感、縮小傾向にあった逆ざやの巻き戻しなど、既に相対的な面で投機の買いを誘う地合いにあったことは留意しておきたい。
また、オプション市場ではOPECプラス減産決定後の取引でプットの買いが増加するなど、一部では依然として需要低迷と経済情勢の悪化を警戒する動き(ヘッジ)も見られる。
上記ポジション動向、WTIの相対的な立ち位置、また先物曲線などを勘案すると、市場は75~95ドルレンジで推移すると考える。
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
出典:時事通信社
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