市場均衡モデルと先物曲線とのギャップ

コモディティ・アナリシス

2025/08/26 10:02

◎〔アナリストの目〕WTI、60~70ドルのレンジで推移=吉中晋吾氏

ニューヨーク原油(WTI)は、米原油在庫の予想以上の減少などを手掛かりに底堅い値動きを展開している。 米エネルギー情報局(EIA)が発表した最新の週間在庫統計によると、原油在庫は前週比600万バレル減の4億2070万バレルで、アナリスト予想よりも大幅な落ち込みとなった。WTIは、原油在庫と市場価格の平均回帰をベースとした需給ファンダメンタルズの若干の割安感を背景に底堅く推移しているが、他の変動要因である為替や米中貿易問題の動きをにらみ上値も限定的である。 当面、60~70ドルのレンジで推移することが予想される。

◇緩やかなバックワーデーション維持 先物曲線は緩やかなバックワーデーションを形成しており、在庫が需給状況を説明する市場均衡モデルの状態と重なる推移となっている。低在庫は、緩やかなコンビニエンスイールド(保有便益)の高まり、リスクプレミアムの増加、バックワーデーションの安定化につながる傾向がある。つまり、足元の巻き戻しは、先物曲線の形状と低在庫の水準がリンクすることで、市場参加の買いのインセンティブが生まれ、市場価格がサポートされたと考えられる。

◇投機筋は転売中心 米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)は、ジャクソンホールにおけるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長講演を控える中、買方は減少し、キャッシュ化を目的とした転売中心の手口となっている。講演では、関税による物価上昇圧力がより持続的なインフレをもたらす可能性も指摘された。今後の投機勢のスタンスとして、インフレ予想と実際の消費者物価指数(CPI)との差分、上記、市場均衡モデルと先物曲線とのギャップ等を手掛かりとしたポジショニングが予想される。 また、原油関連の上場投資信託(ETF)のプレミアム・ディスカウントも、市場価格とわずかな乖離(かいり)で推移しており、投資家のスタンスもニュートラルに保たれている。 現状のバックワーデーションがより拡大すれば、プラスのロールイールド(乗り換えによる損益)を享受するための市場参加の動機も高まる可能性がある。スポット+担保+ロール―コスト等の期待値がプラスである限りは、市場価格のサポート要因になると考えられる。(了)

※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表 https://burginvest.co.jp/ 【無断転載をお断りします。時事通信社】 [/20250826CCC0035]

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