2017/08/07 07:55
◎〔アナリストの目〕WTI、52.5~47.5ドルのレンジを意識=吉中晋吾氏
ナイジェリアの生産上限枠設定のニュースや、米エネルギー情報局(EIA)の在庫レベルの重さが解消されるなどポジティブな要因に支えられ堅調に推移してきたニューヨーク原油(WTI)だが、節目となる50ドルを手前に足踏み状態が続いている。
ただ、ボトムの切り上げはしっかりと確認できており、前回(6月30日)執筆で示した50~45~40ドルのレンジから5ドル切り上がった55~50~45ドルのイメージになるが、実際の取引レンジはその中間である52.5~47.5ドルが意識されるのではないだろうか。
①内部要因=米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉のネットポジション②ファンダメンタル=EIA原油在庫の水準③テクニカル=下値支持線、上値抵抗線の三つのポイントで見ると、①CFTC建玉は、ファンドのネットロングが5週連続で増加していることが確認される。ただし、取組高の水準次第であるが、現時点でのファンドのネットロングは高水準であり、一定のレベルに達するとガス抜き(手じまい売り)が必要であることには注意したい。同時に、新規買いも比較的高値で仕込まれおり、これら二つは価格を瞬間的に押し下げる要因にもなるため留意しておきたい。
②ファンダメンタルは、EIA原油在庫の重さは若干解消されたが、価格上昇のプロセスの中で効果も薄れ、現時点ではニュートラル。ただ、米原油生産が再び増加する動きには注視する必要がある。
③テクニカルに関しては、ひとまず50ドルの節目を達成した後は横ばい。―以上の動向から、52.5~47.5ドルの間で活発な売買が想定される。また、対ブレント原油とのスプレッドも分岐点に近づきつつあることは今後のポイントとして確認しておきたい。
長期休暇を取るトレーダーも多い時期だが、薄いマーケットを狙った手口は毎年のことであり、意識されるレンジ(52.5~47.5ドル)の崩れを狙った動きを踏まえると、55~45ドルも想定しておく必要がある。
出典:時事通信社
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