2021年 9月14日8:13 pm
ニューヨーク原油(WTI)は、強弱材料が交錯する中、70ドルのラウンドでの拮抗(きっこう)状態が続いている。
サウジアラムコが10月分のアジア向け原油公式販売価格(OSP)を9月分から大幅に引き下げ、中国の原油備蓄放出の発表が上値をキャップする中、ハリケーン「アイダ」の影響による米国内の供給不安が底値を引き締める構図となっている。
内外材料が拮抗した状態にある中、米連邦公開市場委員会(FOMC)を9月21、22日に控え、ブラックアウト期間に入ることから、しばらくはタイトな値動きが予想される。
◇需要拡大期待へシフト
上述の要因に加え、直近のWTI市場では、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)における原油在庫の予想を下回る取り崩し、デルタ株急拡大を背景とした米航空の売上高予想の下方修正、また、米政府による戦略石油備蓄の放出の発表など、圧迫材料が多い状況にある。
ただ、足元では、ルイジアナ州で操業を再開する製油所が増えつつある中、供給不安から原油需要拡大の期待へとセンチメントがシフトしており、WTIは、対ブレントでも9月7日以降巻き戻しに転じている。
◇投機は慎重姿勢
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)のポジションに関しては、8月24日以降、投機ネットロングが40万枚を割り込んだ状態で推移している。年初からネットロング55万枚平均で推移してきた投機ポジションは、7月初旬に右下がりに転じ、トレーダー数も同時期にピークアウトを付け、買方減、売方増のトレンドが継続しており、原油価格自体は底堅さを維持しているものの、建玉とトレーダー動向に関しては慎重な姿勢を示している。
◇当面、拮抗状態続く
先物曲線(期近と期先の価格差)に関しては、前回(8月3日)のアナリストの目で言及したように「機械的に修正する部分もあれば、内部要因(期近)で“曲がる”こともあるが、回帰分析の視点では、大方、曲線は日の出入りの周期のように動き、同化と調整を経てレンジに収まる傾向」にあり、7月中旬と7月末で機械的な(売り)戻しが見られたように、“現時点”も、売り調整が行われても違和感のない値位置ではある。
内外材料は拮抗した状態にある。トップサイドは75ドル、ダウンサイドは65ドルのレンジを予想する。
出典:時事通信社
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