軟調な原油需要見通しが参加者の売りを誘う構図

コモディティ・アナリシス

2024/08/27 09:58
◎〔アナリストの目〕WTI、70~85ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する期待
が軟調な原油需要見通しを巡る懸念を相殺する値動きを展開している。
上値に関しては、軟調な原油需要見通しが参加者の売りを誘う構図となっている。直近で
は、石油輸出国機構(OPEC)が、今年と来年の石油需要の伸び見通しを中国の軟調な需
要を要因として引き下げたが、今週はモルガン・スタンレーが、2024年の世界の原油需
要見通しを前年比で従来の日量120万バレル増から110万バレル増に下方修正したと
伝えられた。
一方、下値に関しては70ドル台での自律的な買い意欲は続いている。直近発表された米
労働省が公表した雇用統計の算出基準改定では、雇用者数の伸びが2009年以来の大幅
下方修正となり、FRBが利下げで後れを取っているとの思惑からWTIの下げも一服。そ
の後はテクニカル的な買いを手掛かりに持ち直した。
現状、強弱材料が相殺する状況にあり、引き続きレンジ内での推移が予想される。
◇投機筋も持ち高調整中心
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)に関して、
直近の大相場に伴うアンワインドが金融市場全体で展開される中、投機筋の動向も持ち高
調整が中心になっている。アンワインドとは、重要イベント前後において、リスクを回避す
るためにこれまでのポジションを解消する動きであるが、こと原油市場においては目立っ
たアンワインドは確認されていない。取引レンジにおいても、足元、「70~85」のレン
ジで新規・手じまい・張り返しが繰り返されており、市場参加者のセンチメントを示すトレ
ーダーも同様の構図となっている。
また、市場の方向性を示す先物曲線に関しても、やはり動きは見られない。6月25日の
アナリストの目で「スプレッド間の価格差に動き見られる際は、投機筋のポジショニングに
も同様に何かしらの変化が確認される傾向にある。現状は、オプションを含め投機ポジショ
ン自体に動きがないためスプレッド間の価格差にも動きはない」との考えを示した。先物曲
線と投機ポジションは相関関係にあるが、現状、両者のいずれかが新たな動機を生むような
水準にはない。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表

バーグインベスト|コモディティトレーディングのパイオニア
バーグインベスト株式会社は、世界中のコモディティ市場で投資活動を行う運用のエキスパート集団です。投資活動を通じて、市場が発展するために必要な流動性を供給し、コモディティ市場の効率性と機能度を高める役目を果たしています。
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