投稿:2019/08/16 12:13
吉中晋吾・バーグインベスト代表=来週のニューヨーク金先物相場は押し目買いが継続し、一段高となりそうだ。(値位置が上がったことで)方向性を読みづらい投資家が増えているとみられるが、ファンダメンタルズや内部要因などを見てもネガティブな材料は見当たらない。
ファンダメンタルズは、世界の中央銀行が「緩和競争」に動いているほか、米10年債利回りから2年債利回りを引くとマイナスになるという「逆イールド」の状況が注目される。逆イールドはリセッション(景気後退)のシグナルで、リスク回避から金は買われやすい。NY金の(買いの)土台は強固で、なかなか下がらないと言える。
一方、内部要因を見ると、一部の大口投機筋がロングポジションを積み重ねている。遅かれ早かれ手じまうとみられるが、ロールオーバーするなど、なかなか玉整理に動かない。大衆筋も機関投資家も買っており、売方のいわゆる小口投機筋は断続的に踏まされ、上昇を引き起こす要因になっている。
東京金はNY市場に追随するだろう。東京市場は大衆筋が売って当業者が買うというNYと逆の構図だ。個人投資家は昨年、4600円付近のロングで損失を被り、今年は同じ4600円付近のショートで損を出している。ロールオーバーで建玉を残していても手じまいに動かざるを得ず、この内部要因も上昇をサポートする。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が23日、米西部ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる経済政策シンポジウムで講演する内容と、30日発表される米インフレ指標の一つである7月の個人消費支出(PCE)に注目したい。毎週末に米商品先物取引委員会(CFTC)が公表する投機筋のポジションにも留意し、売りが、買方の手じまいなのか、新規なのか注意する必要がある。(了)
出典:時事通信社
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