2022年 9月20日
11:15 am
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、主要中央銀行の積極的な利上げを背景とした経済成長の減速や、中国の新型コロナウイルス規制で需要が鈍るとの懸念から、8日に1月中旬以来の安値81.20ドルまで下落した。ダウンサイドは、米エネルギー情報局(EIA)が、今年の米原油生産の増加幅の予想を従来の日量61万バレルから54万バレルへと引き下げたことから一時的な回復を見せたものの、実質的に市場への影響は低いとの思惑から新規買いが生まれるような地合いにない。
8月は「80~95ドルのレンジ」としたが、9月も同様のレンジを予想する。
◇投機のポジション、レンジ内で調整継続
米商品先物取引委員会(CFTC)における投機ポジションは、転売と新規売りでネットロング減の流れが続いているが、ヘッジファンドの手口に関しては85ドル台で買い戻しの動きも見られる。
前回(8月8日)の筆者のアナリストの目では「95ドルの水準では転売(戻り売り)の手口となっており、不透明な市場環境の中、同水準が買方のポジション解消のコンセンサスとなっている側面もある」と述べた。やはり現状に変化はなく、80~85ドルのダウンサイドに関しても新規買いではなく買い戻しがメインになっている点から、バイアスが生まれるような地合いにはないように見受けられる。
◇内部的な調整でボックス相場形成
先物曲線に関して、95ドルの水準から加速度的に値差を縮小させた逆ざやは、8月中旬以降、巻き戻し傾向にある。WTIが下落基調の中、先物曲線が緩やかに巻き戻すことで相対的な買い圧力が期近限月に波及し、WTIの持ち直しの動きにつながることも予想される。
これら内部的な調整から形成されたボックス相場は、原油需要が増す冬の時期に向けた踊り場になることも考える。(了)
出典:時事通信社
本記事・画像・写真を無断で転載することを固く禁じます
コメント