2024/11/26 09:50
◎〔アナリストの目〕WTI、65~75ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)は、世界的な石油需要の低迷と、緊迫化するウクライナ情勢
による供給混乱のリスクを背景にタイトな値動きが続いている。
21日、ロシアが南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したと、
ウクライナが発表。その後、ロシアが新型の中距離弾道ミサイルだったと明らかにしたが、
ウクライナ戦争が新たな領域へ突入したとの懸念が下値の底上げに寄与した。
一方、上値に関しては、世界的な石油需要の低迷を背景としたOPEC(石油輸出国機構)
プラスの有志国による自主減産の縮小が延期される可能性、また、JPモルガンによる世界
の石油需要予想の下方修正などが重しとなっている。
足元では供給サイドへの懸念が高まる状態にあるが、中期視点においては軟調な需要見
通しが重しとなる。WTIは引き続き、65~75ドルのレンジ相場で推移すると予測する。
◇投機、慎重なかじ取り続く
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)は、やはり
様子見状態となっている。直近のデータでは、売り買いともに手じまい中心の手口となって
おり、上記、地政学的リスクと軟調な需給見通しの綱引きを反映させた格好となっている。
一方、11月5日付の投機ロング増の動きからも、市場が下値に接する場面では、買い戻し
と打診買いの意欲が強まることが示されている。当面、投機の動きも、外部要因同様、均衡
状態が続くものと考える。
◇先物曲線も横ばい
やはり長期先物曲線の水準も落ち着いた状態にある。前回10月29日のアナリストの
目では、「仮に米大統領選、その他要因で原油価格が乱高下しようとも、長期曲線の水準が
現状維持の場合は市場の変動も一過性になると予測する」との考えを示したが、曲線は一過
性の気配さえ見せることなく適温を維持している。
年内はアウトライト(原油価格単独の取引)、スプレッド(先物曲線、限月間の取引)、い
ずれもレンジで調整されるものと予測する。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
供給混乱のリスク
バーグインベスト|コモディティトレーディングのパイオニア
バーグインベスト株式会社は、世界中のコモディティ市場で投資活動を行う運用のエキスパート集団です。投資活動を通じて、市場が発展するために必要な流動性を供給し、コモディティ市場の効率性と機能度を高める役目を果たしています。
コメント