◎〔週間見通し〕ＮＹ金、年末控え方向感出にくい＝バーグインベスト・吉中氏

2022年 12月2日
吉中晋吾・バーグインベスト代表＝来週のニューヨーク金先物相場は、年末を控えて市場参加者の手じまい活発化が予想される中、方向感は出にくそうだ。中心限月の予想レンジは１オンス＝１７５０～１８５０ドル。

今週の金相場は心理的節目の１８００ドルを突破し、大幅に水準を切り上げた。これは予想外にハト派だったパウエル米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長発言の影響が大きい。ブラード・セントルイス連銀総裁ら関係者の事前の発言が比較的タカ派なトーンを帯びていたため、投機家のポジションは売りに傾いていた。議長発言によって買い戻しが進み、利上げ幅縮小を見込んだ新規の買いも相まって、相場上昇を勢いづかせた形だ。

加えて、弱い経済指標を背景とした、リセッション（景気後退）観測の強まりや、金利の低下といった環境変化も、今回の相場上昇に寄与するものだ。金相場は今、大きな分岐点を迎えつつあるといえるだろう。

ただ、そうした分岐点では波乱も起きやすい。１８００ドル超の水準はいささか買われ過ぎの感もある。金融市場全般に共通するが、この時期は手じまいが主体となりやすく、年末までにまだ一波乱あるとみておくべきだろう。ファンダメンタルズとは関わりなく、注文の出方次第で、上下に振れやすくなる点には留意が必要だ。（了）
出典：時事通信社
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