◎〔アナリストの目〕WTI、戦略石油備蓄(SPR)が動機に=吉中晋吾氏

コモディティ・アナリシス

2024/03/26 09:30
◎〔アナリストの目〕WTI、75~85ドルのレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、中東やウクライナ情勢、石油輸出国機構(OP
EC)加盟国とロシアなどの非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による自主減産へ
のコミットメントなど、需給逼迫(ひっぱく)に対する懸念から底堅く推移している。市場
を取り巻く要素は、ファンダメンタルを中心に強材料が多く、当面、底堅さを維持する展開
が予想される。
◇ファンダメンタル中心の強材料
直近では、グランホルム米エネルギー長官が、今年末時点の戦略石油備蓄(SPR)が、
2年前に1億8000万バレルを放出した際よりも前の水準以上になるとの見通しを示し、
WITは一時的に値を消した。一方、政府によるSPR補充のための追加購入が1バレル当
たり79ドル未満での買い入れを目指しているとの考えが示されたこともあり、ダウンサ
イドも限定的、または同水準における買いの動機となっている。
また、OPECプラスの自主減産へのコミットメントに伴う需給バランスの変化、中東の
停戦期待後退なども相場の底上げ、タイムリーな下支えの要因となっている。
◇投機筋79ドル台で踏み上げ
米先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下、オプション含む)に関して、7
9ドル辺りの“売り”は無くなった。平均79ドルの水準は、長らく転売や新規売りの上値抵
抗線・値位置として機能してきたが、上記ファンダメンタルの押し上げを受け、同水準が新
規買いや買い戻しの値位置へと変化した。“80ドル以上の買い”のコンセンサスが取れてい
るかは定かではないが、事実として、79ドル平均で踏み上げが一巡し、同水準以上の値位
置で新規の買いが入る動きが確認されており、トレーダーも同調する形で、買方増・売方減
の構図となっている。
内部は先物曲線を含め、中立である。23年9月以降、拡大していたバックワーデーショ
ンも3カ月の調整・修正期間を経て沈静化。現状、フラットな立ち位置にある。
相場全体はタイトでダウンサイドは拾われる傾向にあり、当面75~85ドルのレンジ
を底堅く推移するものと考える。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表

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