◎〔アナリストの目〕WTI、米国を巡る強弱材料が交錯=吉中晋吾氏

原油

2024/05/28 09:35

ニューヨーク原油(WTI)は、中東やウクライナ情勢の緊迫化も一服、4月中旬以降は
軟調な推移となっている。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成するOPECプラスの自主減産への
コミットメント、中東の停戦期待後退などを手掛かりに底堅い相場を展開してきた3、4月
の相場も、中東情勢の緊迫化の後退、米金利の高止まりによる燃料需要を抑制させるとの懸
念などを背景に軟調な推移となっている。
また、米国を巡る強弱材料が交錯していることもあり、市場参加者の方向感と動機を欠く
展開が続いており、当面は75~80ドルのレンジで推移するものと予想する。
◇投機筋も方向感欠く
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下オプション含む)も方向感を
欠く手口となっている。筆者の3月26日付のアナリストの目では、投機動向に関して「平
均79ドルの水準は、長らく転売や新規売りの上値抵抗線・値位置として機能してきたが、
上記ファンダメンタルの押し上げを受け、同水準が新規買い・買い戻しの値位置へと変化し
た。79ドル平均で踏み上げが一巡し、同水準以上の値位置で新規の買いが入る動きが確認
されており、トレーダーも同調する形で、買方増・売方減の構図となっている」として足元
の強さを確認したが、上記強弱が拮抗(きっこう)するファンダメンタルなどを背景に投機
も手探り状態となっている。方向性の欠如は、建玉とトレーダーの動向が端的に示しており、
直近のネット建玉は一部強気なポジショニング(ロング増)になっているが、トレーダーは
弱気の方向性(ショート)を示している。
やはり内部も先物曲線を含め中立である。2月以降、拡大していたバックワーデーション
も4月半ばにピークアウトした。1カ月弱の調整・修正期間を経て現状、フラットな立ち位
置にあり、何かを試すような局面にはない。
相場全体は方向感を欠いており、当面75~80ドルレンジを底堅く推移するものと考
える。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/

【無断転載をお断りします。時事通信社】
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