方向感欠く

コモディティ・アナリシス

2024/09/24 10:01
◎〔アナリストの目〕WTI、65~75ドルレンジで推移=吉中晋吾氏
ニューヨーク原油(WTI)先物相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅な
利下げ以降、方向感を欠く推移となっている。
8月末、WTIは、モルガン・スタンレー等、大手金融機関の原油需要見通しの下方修正、
また、世界の原油需要をけん引する中国の経済減速による需要減退懸念などを背景に60
ドル台まで売り込まれた。ただその後は、FRBによる大幅な利下げを受け米国景況感悪化
を回避。市場では0.5%利下げを織り込んでいたことに対する達成感も広がり、主要株価
指数とともにWTIも緩やかに持ち直す展開となった。
足元、方向感を欠く地合いとなっており、当面65~75ドルのレンジで推移するものと
予測する。
◇投機はショート維持
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機ポジション(以下、オプションを含む)に関し
て、8月末以降、石油輸出国機構(OPEC)や大手金融機関の石油需要見通しの下方修正
などを背景に、2週連続で相当量の大口投機筋の売りが見られた。新規売りのレンジは71.
5ドル台となっており、市場は一時65ドル台まで値を切り下げたものの、最新の建玉報告
(9月17日現在)では目立った買い戻しの手口は見られていない。これらの原因に関して、
米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、市場参加者が一時的に市場から撤退していたこ
ともあり、相当量のポジションを買い戻すための流動性が十分でなかったことが背景にあ
ったと考えられる。
現状、大口投機筋は一時的に静観しているが、今後の材料の強弱にかかわらず、新規売り
のレンジを上抜ける場面では損切りが発動することも想定され、足元の流動性の薄さを考
慮すると、瞬間的でも70ドル台後半への巻き戻しも考えられる。
◇先物曲線はフラット化
長期先物曲線も、原油市場のレンジの切り下げと歩調を合わせ、フラット化が進行した。
短期の逆ざやに関しては多少の緩みにとどまっているが、中長期の曲線は、上記ファンダメ
ンタルの軟化を背景に8月30日以降、逆ざやが緩み、フラット化にシフトした。足元、原
油価格の持ち直しとともに、フラット化から再び逆ざやのスティープ化への態勢にある。た
だ、逆ざやのレンジそのものは適温であり、市場のセンチメントもニュートラルな状態にあ

る。(了)
※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表
https://burginvest.co.jp/
【無断転載をお断りします。時事通信社】
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